均等待遇アクション21は2000年の均等待遇実現キャンペーン以来、「どんな働き方でも均等待遇を! 同一価値労働に同一賃金を! 間接性差別禁止を法律に! 均等法を男女雇用平等法に! 有期雇用にも均等待遇を!」の実現を求めて活動をしてきたNGOです。
2016年1月から実施の第4次男女共同参画基本計画では、4つを目指すべき社会(*1)としてその実現を通して男女共同参画社会の形成の促進を図るとしています。国連女性差別撤廃委員会からも性差別是正にむけ再三勧告が出されています。しかしながら本年4月には財務事務次官によるセクシュアルハラスメントが発覚し、加えて財務大臣により容認・助長をするがごとき発言が繰り返され、日本の女性差別の実態を世界に知らしめることとなりました。すでに事業主の措置義務が規定されているセクシュアルハラスメントの被害は無くならず、パワーハラスメントにより健康を阻害され命を落とす自体も発生しています。
このような中、現在審議されている女性活躍推進法と男女雇用機会均等法は、雇用におけるジェンダー平等を実現するために不可欠な2本柱です。それに加えて、包括的なハラスメント禁止法を作ることは喫緊の課題です。
以下、要請します。
1.女性活躍推進法の施行後3年の見直し
1.女性の活躍の定義に、「雇用における男女平等権の確立」が含まれることを規定すること。
2.計画策定、改訂に際して「労働者の関与」を条件とすること。
3.行動計画策定の義務付けは、「すべての企業」に対象拡大すること。
4.状況把握項目は、任意項目となっている「男女の賃金の差異」について基礎項目とすること。
5.情報公表は「25把握項目すべて」について公表を義務づけること。
6.義務付け事項に違反している事業主が勧告に従わなかった場合は、企業名公表などの制裁規定を設けること。
2.パワーハラスメント防止対策の強化
1.ILO条約案を踏まえ、職場のあらゆるハラスメントを禁止する法律を制定すること。
2.すべてのハラスメントの行為者と被害者は、雇用形態に関わらず職場で働くすべての者、顧客や取引先、利用者、患者等の第三者を含むものとすること。
3.パワーハラスメントの定義は、3つの要素のみではなく、包括的なものとすること。
4.パワーハラスメントに関する相談・救済のために必要な体制整備を事業主に義務付けること。
3.男女雇用均等法の見直し
1.均等法の目的・基本理念に、「仕事と生活の調和」の平等保障を明記すること。
2.基本理念の性別を、「性別ならびに性的指向や性自認」とすること。
3.性差別の定義規定をおくこと。
4.差別の対象事項に、「賃金」を入れること。
5.間接差別禁止の省令を例示列挙とし、2004年6月の「均等政策研究会報告書」が示した4事例を追加すること。
6.雇用管理区分を超えた性差別を禁止すること。
7.妊娠・出産を理由とする解雇その他の不利益取扱い禁止に、「募集・採用時の差別禁止」を規定すること。
8.男女労働者に対する「結婚や家族的責任を理由とする不利益取扱い」を禁止すること。
9.セクシュアルハラスメントの禁止規定を定め、加害者を含む処罰規定を設けること。
10.セクシュアルハラスメント被害者の労働権を確保するため、雇用の継続を図り、賃金支給、職場復帰を保障することを事業主に義務付けること。
11.セクシュアルハラスメントの相談窓口設置と早急な救済を事業者に義務付けるとともに、実効性ある第三者機関を設置すること。
12.セクシュアルハラスメント被害からの回復支援措置を事業主に義務付けること。
13.退職者も含めたセクシュアルハラスメント被害者の実態調査を国の責任で実施すること。
*1
1男女が自らの意思に基づき、個性と能力を十分に発揮できる、多様性に富んだ豊で活力のある社会、
2男女の人権が尊重され、尊厳を持って個人が生きることのできる社会、
3男性中心型労働慣行等の変革を通じ、仕事と生活の調和が図られ、男女が共に充実した職業生活その他の社会生活および家庭生活を送る事ができる社会、
4男女共同参画を我が国の最重要課題として位置づけ、国際的な評価を得られる社会