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2013年2月13日 

厚生労働省
労働政策審議会雇用均等分科会 委員各位

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均等法改定にむけた要請書

均等待遇アクション21事務局 

東京都文京区本郷2−27−2 東眞ビル3階 
           TEL&FAX 03-5689-2320 
E-mail:kintou21@siren.ocn.ne.jp  

 私たちは、「同一価値労働同一賃金の実現、間接性差別禁止の法制化」によって、どんな働き方でも均等待遇を保障されるよう活動しています。2007年4月より施行された現行均等法の見直しについて、大きな関心をもって労働政策審議会雇用均等分科会を欠かさず傍聴しています。

 日本の男女平等度の低さは世界中から注目されており、関連する国際機関から再三にわたり是正すべきとの指摘を受けています。残念ながら現行均等法は「雇用の分野における男女労働者の均等な機会と待遇の確保」を実現できていません。

 雇用均等分科会の審議にあたり、特に以下のポイントを十分に論議頂くよう強く要請いたします。

1.「差別の定義」を明確にすること。
 均等法第2条基本的理念の2に女性差別撤廃条約第1条の「差別の定義」を明記すること。

*2009年8月に女性差別撤廃委員会から出された総括所見
 22 委員会は、本条約及び本条約第1条に記載された女性に対する差別の定義を国内法に完全に取り入れるために緊急の措置を講じ、次回報告においてこの点に関する進捗状況を報告することを締約国にもとめる。

*女性差別撤廃条約
 第1条 この条約の適用上、「女子に対する差別」とは、性に基づく区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のいかなる分野においても、女子(婚姻をしているかいないかを問わない。)が男女の平等を基礎として人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする効果又は目的を有するものをいう。

2.「仕事と生活の両立保障」と「男女賃金格差の是正」を明記すること。

* 8条の適用を回避するために、パート労働者から仕事を取り上げる、責任のレベルを正社員と少しだけ変える、正社員と同じ職務につけないなど、意図的な職務分離も生じている。比較可能な正社員がいない場合は、過去にいた正社員や同業種他社の正社員も比較対象とすること。第1条の目的に以下の2点をいれること。

 1-仕事と生活の両立を図る権利を男女平等に保障することを明記すること。
前回改定時に大きく議論となり、衆参両院の付帯決議においても言及されている。依然として女性に偏る家庭責任や子どもの養育期にある男性の長時間労働を是正するためにも必要である。
 *男性雇用者について週労働時間60時間以上の割合は20代では12.6%、30代では18.7%、40代では17.7%である(2011年総務省労働力調査)。
 
 2-男女賃金格差は雇用における性差別の凝縮した現れであり、均等法が男女賃金格差の縮小に寄与するよう機能させる旨を明確にすること。
 *男女賃金格差は、男性100に対し、女性一般労働者70.6、正社員・正職員73.3。1時間当たりの所定給与の格差は、正規男性100に対し、短時間男性55.5、短時間女性50.3である(2011年総務省労働力調査)。年収200万円以下の割合は女性42.7%、男性9.8%、300万円以下は女性66.2%、男性23.4%である(国税庁「民間給与実績統計調査」2010年分)。

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3.「雇用管理区分」を廃止すること。

 指針から「雇用管理区分」を廃止し、男女間の待遇等の格差を性別以外の合理的な要素の有無によって判断する枠組とすること。
 すでに司法判断においても雇用管理区分を超えて仕事の同質性が判断され、性差別として判断されている(兼松事件東京高裁判決 2008.1.31、最高裁2009.10.20)。
 さらに日本政府は、ILO憲章24条に基づく100号条約違反申立(2009年7月)に対する政府見解(2010年7月30日)として、労働基準法4条の適用は、男女間に生じた賃金格差の是正にあたって、仕事や雇用管理区分を同一にする場合に限定されないものであること、つまり、仕事や雇用管理区分の異なる男女間に生じた賃金格差についても適用するものであると答えている。したがって、「雇用管理区分」は廃止すべきである。

4.「間接差別」を例示列挙にすること

 間接差別の厚生労働省令による限定列挙を改め、例示列挙とし、さらに以下を追加すること。

 <追加すべき事項>
1. 福利厚生の適用や手当の支給にあたって住民票上の世帯主又は主たる生計維持者を要件とすること。
2. 福利厚生の適用や手当の支給にあたってパート労働者、有期契約労働者を除外すること。
3. 募集・採用にあたって一定の学部・学歴を要件とすること。

 

5.性中立的で客観的な「職務評価」を賃金等待遇の格差を是正する判断基準とすること。

男女賃金格差について、性別以外の合理的な根拠として使用者側から「職務の違い」が主張された場合は、性中立的な客観的職務評価を実施することによって判断し、待遇格差の大きさとの合理性も明らかにする必要があることを明確にすること。また、賃金以外の待遇の格差についても、職務の違いが根拠になっているときには性中立的な客観的職務評価の実施によって判断すること。

以上

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